|
【基礎工法の比較】
(1)布基礎:主に住宅基礎の一般形として建物の荷重を布(立上がり基礎)と基礎フーチングによって支える構造になります。形状は逆T字型で、建物外周部と内部耐力壁の通り設置。フーチングの幅が広くすることにより接地圧を低くし地耐力に対抗します。地耐力が30kN/㎡未満の場合は、杭打ちになります。(1)図(点線)にある防湿用スラブの併用も近年多い工法です。
(2)ベタ基礎:本来ベタ基礎といわれる基礎構造体はこの形状です。ベタ基礎スラブ面に布基礎から突き出た顎のある基礎です。 この顎の部分と布基礎部のフーチング面を広げたスラブにし、建物の接地圧を分散させ、一部分の不同沈下と布基礎のたわみを防ぐことができます。沈下を均等化することがで きる。
剛構造となるため構造体自体の強度は、布基礎よりも高い。現況の主流基礎である。
(3)ダブル配金逆スラブベタ基礎:主に3階建ての重量がある住宅基礎に活用され、ダブル配筋による梁とスラブでより剛構造にし たわみを防ぐことができます。
(2)のベタ基礎より根切り(土を掘削すること) 部分が、少なくすむ場合がある。
コンクリ-ト打設が一度で済むため打ち継ぎがなく経済的である。 現在のベタ基礎の基本形である。
【基礎工法の問題点】ベタ基礎の場合基礎自体の自重が大きいので布基礎より接地圧が高くなる場合もあります
圧密沈下は布基礎より一般的に高い。
そのため破壊極限値は深層に達します。 基礎の許容支持力は、布基礎より低くなる場合も
あります。(布基礎は軽い、ベタ基礎は重い基礎)
ベタ基礎の効力があるのは、敷地の軟弱地盤が均一な場合であると考えます。
現在ベタ基礎が主流なのは、建物荷重の分散化・沈下の均等化・剛構造ゆえ適用されています
地質からは、粘性土では周辺部、砂質土では中央部の接地圧が大きくなる傾向があります。
敷地内で大きな地質の違いと、場所ごとの軟弱層の高低さがあれば、工法の選択を広げて考え
なければなりません。(地盤補強等の工事併用)
【現場上の注意点】
やり方(建物の基準高や建物の位置を決定する工事)に使用するレベル(水平機 )とトランシット(測量機)の誤差や整備不良に注意
根切り(掘削等の土工事)特に砕石量の厚さとランマーによる締め固めの確認(通常200mm) 締め固めがゆるい場合沈下の促進につながります。
配筋工事主に鉄筋間隔の確認・鉄筋位置(かぶり厚)コーナー補強筋の重ね幅・ 番線(鉄筋を結ぶ針金)の確認
型枠工事枠材の劣化(何度も使い廻しのコンパネ)型枠通り・測量機の誤差 の確認
コンクリート工事コンクリート強度の確認(スランプ試験)打設時のバイブレーターによる締め固め打設後養生期間
(特に冬場の工事に注意:凍害の恐れ)
【新しい工法】基礎工事だけによる保証システム:JHL「地盤・基礎・構造一体型」瑕疵保証制度によると基礎の補強工事として軟弱地盤に推進しているのがESP置き換え工法です。これは住宅の荷重分だけ土を取り除き、その部分に強化発砲スチロールに置き換える工法です。発砲スチロールによって、振動や衝撃を防ぎます。
詳細はまだ調査中です。
【観点】ベタ基礎にすれば問題がないという風潮が目立つ。ベタ基礎にも敷地条件・建物形状・重量の偏在で、沈下を促進させることもあります。軟弱地盤でなければ、布基礎の剛構造か(鉄筋量の増やす・フーチング・布幅を大きくする等)防湿用スラブ併用のほうが経済性や合理性はあると考えますが、地耐力の詳細算定がこれからは求められる。
|
|